福建技術師範大学(Fujian Polytechnic Normal University)は、福建省の省都・福州の南翼に位置する全国有数の華僑の郷であり、全国郡域経済百強市に選ばれる福清市にキャンパスを構えている。五馬山キャンパスと石竹山キャンパスの2つを有し、総面積は約1,200ムー(約80ヘクタール)に達している。
本学は福建省人民政府が主催し、1977年に創立され、旧名は福建師範大学福清分校であった。2002年、創立25周年を迎えた際、当時福建省人民政府の省長を務めていた習近平同志から祝賀の書簡が寄せられ、本学に「更なる教育質量と学校運営効率の向上を図り、福建省の改革開放と近代化建設の加速推進に新たな貢献をするよう」との励ましの言葉が記載されていた。
本学は2002年に四年制教育を開始し、2019年に教育部から公立の四年制大学として独立設置が認可された。福建省で唯一、職業教師の育成を使命とする応用型四年制大学であり、福建省一流の応用型建設育成校、福建省修士学位授与組織育成校、福建省「三全育人」(全面的・全過程・全員参加型教育)総合改革試行校に選ばれている。設立以来、8万名以上の卒業生を輩出している。
現在、13の学部、42の学科、2つの一流応用型大学重点建設学科、6つの修士学位連携育成プログラムを設置し、全日制の在籍学生数は1万2000人を超えている。さらに、省内一流四年制専攻6つ、省内サービス産業特色専攻5つ、省内創業創新教育改革モデル専攻6つを有し、元洪食品産業学院、化工新材料産業学院、ネットイース・デジタルメディアクリエイティブ現代産業学院は省認定産業学院に選定されている。学問分野は人文科学・理学・工学・教育学・経済学・法学・管理学・芸術学の8領域にわたり、食品科学を中核とし、人工知能(AI)・ビッグデータなどの新興専攻を基盤として、材料工学・海洋科学・国際経済・メディア学など異分野との融合を推進する「食品+」学術発展の枠組みを確立している。特に包装工学科は、校友会「2024年中国大学包装工学ランキング(応用型)」において全国第1位に選出されている。専任教師700名以上のうち、約300名が博士号取得者であり、教授・准教授の割合は40%を超える高度な教育体制を構築している。さらに、国家「万人計画」リーダー人材、国務院特殊手当受給専門家、中国四つの特殊分野における一流人材(全国宣伝文化部門の人材プロジェクト)、および福建省A類人材など、国内で活躍するトップクラスの研究者や専門家が結集している。
福建省東南部の製造業集積地という立地優位性を活かし、福建省「四大経済」戦略、国家級開発区、千億元規模の産業クラスターと連携し、体系的な科学研究を推進している。インドネシア研究院、黄檗文化と海上シルクロード研究院、工芸美術研究院、華僑華人と中外文化融合研究センターなどの特色ある研究機関を設けている。さらに、食品ソフトパッキング技術福建省高校工学研究センターをはじめ、20以上の省・市レベル科学研究プラットフォームを整備し、中国華僑郷(福建技術師範学院)研究センターの認定を取得している。
2021年以降、省部級レベル以上の研究プロジェクト200件以上が採択された。教育部科学研究成果賞をはじめとする省部級科学技術賞9件を受賞し、103件の政策提言報告書が国家省部級以上で採用されている。さらに、政府機関・企業・事業所から委託を受けたプロジェクト700件以上を実施し、「華龍一号」原子炉の高周波振動抑制技術、新エネルギー車用サンルーフガラス向け機能性コーティング開発、化工新材料の生産プロセス革新、樹脂パイプのコア性能向上、海洋養殖の品質・効率最適化、海洋食品加工の新規手法開発などの分野で画期的な成果を挙げている。特に、「車載AI研究チーム」と「海洋食品全サプライチェーン技術革新チーム」は、省認定科学技術創新人材チームに選定された。
本学は福建省の職業教育師資養成という重大な使命を担い、福建省職業教育教員発展連盟を設立し、加盟機関は138以上にのぼり、全省の中等職業学校をほぼ網羅している。さらに、省内各都市と連携し、中等職業教育附属校10校、中等職業教育基地校21校を共同建設している。省教育庁より福建省職業教育教員研修センターの指定を受け、全省の職業教育師資研修、職業院校教員技能競技大会、「双師型(理論と実技兼備)」教員認定業務を統括的に実施している。
職業教育高品質発展研究院、福建省中等職業德育研究センターなどの特色ある研究プラットフォームを設置し、三全育人(全面的教育)、中本貫通(中学から四年制教育への接続)、高等職業学校入試など一連の職業教育総合改革の模索を主導的に展開し、福建省職業教育年度質量報告を発表している。本学が福建省教育改革イノベーションと教員チーム建設を全面的にサービスする関連した取り組みは『中国教育報』に掲載され、福建省職業院校の発展と名師、校長、中核教員、担任先生チームの成長を支援する育成地となっている。
本学は、中国・インドネシア両国首脳が共同推進する「両国双園(Two Countries, Twin Parks)プロジェクト」中国側園区における唯一の大学として位置づけられている。華僑ネットワークを強みに、「一帯一路」構想と「両国双園」への貢献を深化させ、協力交流の拡大を継続的に推進している。これまでにアメリカ・イギリス・カナダ・インドネシア・日本・マレーシアなど46大学・機関と友好関係を築き、人材共育・科学研究・師生相互訪問を多角的に展開している。さらに、インドネシア、ベトナム、ラオス、タジキスタン、ウズベキスタンなど「一帯一路」沿線国からの留学生を受け入れており、福建省初のインドネシア語学科を開設した。インドネシアの大学と共同建設する「福建省————インドネシア海洋食品共同研究開発センター」は、省内「一帯一路」国際科学技術協力プラットフォームに指定された。「言語+技術」を中核コンセプトに掲げる本学は、福建省とインドネシアの戦略的連携における重要な窓口となっており、「両国双園」支援に向けた本学の取り組みが『光明日報』でも特集記事として報じられている。
新たな発展段階に基づき、本学は習近平新時代中国特色社会主義思想を指導とし、習近平総書記が本学の学校運営に対する重要な嘱託を銘記し、中国共産党と国のために人材を育成する使命を果たしている。「明德篤行・弘毅求真」という学訓を掲げ、本学は、科学技術イノベーションの推進において新たな道を切り開き、ハイレベルの開放的な学校を開設し、運営し、産業と都市の一体的発展の模範を示し、国家戦略に奉仕し、福建省の職業教育の質の高い発展をリードし、地域一流の学際的、総合的、応用型大学との運営目標に向かって前進するよう努めていく所存である。
(2025年5月現在)
注:
1 、「三全育人」:全人教育・全過程教育・全方位教育を指す中国の教育方針。
2 、「華竜1号」:中国自主開発の第3世代原子力発電システム。
3 、「両国双園」:中国・インドネシア間の経済協力プロジェクトで、福建省とインドネシアのパルミラ島を結ぶ。